数学ガールの誕生

(2014-01-28読了)

数学ガールは1冊目以外積読になっているが,本屋で偶然見つけて結城浩ファンとしては読まずにいられなかったので購入.数学ガール読めよ,という感じである.結城浩氏は顔出ししない,講演もほとんどしないということで一生のうちに会いたい人のひとりなのだけれど,どうやらはこだて未来大学で行った講演と質疑応答の内容を書き起こしたものらしい.

内容はザ・結城浩節という感じでファンとしてはニヤニヤしていた.初めて結城氏の本を読んだのは「C言語プログラミングのエッセンス」であり,まえがきに書かれていた文言を記憶を便りに書いてみる.

ケーキを作っていてレシピに書かれていたバニラエッセンス1摘というのを,どうせ1摘だから加えなくても変わらないだろうと思っていたが,ある日バニラエッセンスを手に入れたので加えてみたら信じられないほど風味が変わった.本書はそんな1摘を読者に提供できればと思う.

こんな感じだった.自分の中ではこのセンテンスに結城氏のポリシーが集約されているんじゃないかなと思っている.

ゲーデル不完全性定理については,一年かけて勉強しながら本を書いたとか.読んでいないので内容を知らないが,ゲーデル不完全性定理の証明を説明しているらしい.数学科の出身ではないから本当にイチから勉強して本にするというのがすごい.自分も追いかけてみたい.

本書で語っていた結城氏の「1年勉強すればここくらいまでは到達できるだろう」ということがわかる」という能力は,わかる能力がすごいんでなくて裏を返すとコツコツと勉強ができる能力なのではないか.もっといえばわかる能力でなくて,絶対に目標を達成するという能力なのではないかと思う.

自分の能力を自慢すれば「1年勉強してこれくらいまでになる (といいなぁ)」という能力があるものの,残念ながらそれを達成する能力がない典型的な明日本気を出すタイプである.

しかし,そんな能力()も悪いことばかりではない.

昨年ようやくEMアルゴリズムを自分の言葉で理解することができた.初めてEMアルゴリズムを知ってから7-8年経っていたと思う.結果から言えば1日もあれば理解できるようなところでつまづいていただけなのだけれど,おかげで多分もう忘れないし,7年かかった感動はものすごかった.だから自分の理解が遅いのは感動を味わいたからであって,けして怠けているわけではないと信じている.よし明日から本気を出そうと思った.

本書への感想というか自分語りになってしまったけれど結城浩ファンとしては面白かった.