私のキーボード遍歴
ここ8年くらいApple Magic Keyboard(途中から2)を使っていてこれが自分にとってキーボードの終着点と思っていたけれど、Twitterのタイムラインでいろんな人がキーボードについて楽しそうに語っているのを見て、自分も色々試してみたくなって試してみたので記録として残しておく。最近、特に昔の記憶があやふやになってきており、学生時代がつい数年前のことかな、と思ったらもう20年近く前になりつつあるので、忘れないうちに自分用に書き留めておく。
キーボードにまつわる自分の思い出が中心なので、キーボードレビューを期待している人に役に立つ情報がないことを先にお断りしておく。
まとめ
- これまでいろんなキーボードを使ってきた(FILCOメカニカル、HHKB、Apple Magic Keyboardなど)
- 今回はKeychron K2、S1、Nuphy Air 75を試してみた。今のところS1が一番好き。
- やっぱり自分はロープロファイルが好き。
- スイッチは青軸>茶軸>>赤軸。ただ、スタンダードとロープロファイルで感覚がだいぶ違う。ロープロファイルで青軸はちょっと硬い印象。ロープロファイルでは青軸以外を試していないが、茶軸>青軸かも。
- とりあえずKeychron S1が今回の旅の結論。
これまで約20年のキーボード歴
- DELL製メンブレン
- メカニカルキーボード(ブランド名不明)
- FILCOメカニカル(製品名忘れた)
- HHK Lite2
- HHK Pro
- ノートPCのキーボード(レッツノート、VAIO Z)
- Apple Magic Keyboard
加齢と共に指を動かすのがおっくうになってくるので、ロープロファイルキーボードにシフトしていった。
さて始まりはたしか大学生2年生くらいのある日、夏の暑い夜だったと思う。ふと「タイピングスキルの向上は生産性の向上に直結するではないか。タイピングスピードは思考の出力のボトルネックになるではないか」という真理に気がつき、タイピングスピードと正確性を極めることにした。
それまでも一般レベルで言えばそれなりにタイピングは速い自信があったが、タイピングが速いと周りに自慢できるレベルではなかったし、なにより運指が自己流(両手の人差し指と中指を中心に使っていた)になっていて、タイピングソフトではそれなりのスピードは出ても正確性に欠けた。というわけでホームポジションの練習から徹底的にやり直した。当時はタイピングソフトが流行っていて、いろんなゲームがあった。記憶に残っているのはタイピングオブザデッドというハウスオブザデッドのタイピング版。今だと信じられないかもしれないが、ゲームセンターにもアーケードゲームが設置されていたりもした。あとはタイプウェル憲法という日本国憲法を打ち込むソフトを毎日のように練習していた。毎日打ったら憲法を暗記できるかな、と思ったが、全然覚えられなかった。
これのおかげでだいぶタイピングスピードが上がった。特に数値上の目標があったわけでも大会のようなものに参加するつもりもなく、ゲームを遊ぶ感覚でタイピングソフトを遊んでいた。今思えば、この期間でかなり指を消耗してしまったのではないかと思っている(笑)。指がつるまで練習することがざらだったので、もっと指にやさしいキーボードを使うべきだったと思う。野球におけるピッチャーの肩は消耗品というように、指も大切にしないといけないのではないか。
当初は自宅PCに付属のDELL製メンブレンキーボードを使っていたのだけれど、きっかけは覚えていないが憲法をタイピングしているうちに指がつってしまうことがあったのだと思う。それまで目もくれていなかったがキーボードショップというものに足を運んでカチャカチャ触った結果、安いメカニカルキーボードを購入した。ブランド名は覚えていない。カチカチ音のする(青軸といえばいいのだろうか?)やつで、タイピングスピードが著しく向上するとともにタイプミスがかなり減った。何よりもタイピングしている感が強く、爽快感がすごかった。割と気に入っていたのだけれど、やっぱりずっと使っているとうるさい。何をするにもカチャカチャ。あとはいわゆる昔ながらのキーボードという感じでどうもデザインが気に入らなかった。今だったら一周回ってむしろ好きな部類に入ると思うのだが。
そんなこんなでしばらく使っていたのだけれど今度はよく吟味しようと次に入手したのがFILCOのメカニカルキーボード。製品名は忘れてしまったが、テンキー付きのフルキーボード。当時はスイッチの色とか気にしたこともなかったが、カチカチという音ではなくシャコシャコというもっと軽いタッチで音も少ない部分が気に入った。リニアなのかタクタイルなのかよくわかっていないが、たぶんリニアだったのではないかと。デザインも黒ベースで格好よく、ひたすら憲法を打ち込んだりゾンビを倒したりしてタイピングスキルを訓練していた。
M1夏休みで某半島にある某研究所のインターン中に愛用FILCOキーボードを持ち込んで作業をしていたところ、目の前に座っていた先輩社員に「きみ、タイピング速いなぁ」と言われる事案が発生。関西地方のイントネーションの違いが区別できない自分は先輩を京都人だと勘違いし、これが京都言葉でいう「キーボードの音がうるさいんじゃボケェ!」というメッセージと捉え、これ以降FILCOキーボード使用を控えるようになる。なお先輩は実際は大阪人ということが後ほど発覚する。FILCOキーボードを使わなくなった理由はよく覚えていないが、このセリフを言われたのは事実。ふつうに話をするきっかけを振ってくれただったのだが、やっぱり学生にとっての先輩社員の言葉は必要以上に怖く響くものである。さて、記憶が確かではないのでもしかしたらFILCOよりも先に使っていたのかもしれないが、指導教官や研究室の先輩が使っていたこともあり、HHKBデビュー。ちょうどこの頃Emacsを使うようになったので左手Ctrlの位置が重要ということも理解する。
最初に使ったHHKBはHappy Hacking Keyboard Lite 2だったと思う。その後、HHKB Pro(無刻印)を妻にプレゼントしてもらったりして、外付けキーボードという意味ではこれが自分にとっての究極解と思っていた。最初の会社入社以降は、ノートPCを画面につないで作業することが多くなり、ノートPCとの二画面作業、外での作業との一貫性を持たせることもあり、ノートPCのキーボードをそのまま使うようになった。社会人初めてのノートPCは確かレッツノートの一番小さいモデル。たぶんR型(10インチ)?それまでのキーボードに比べるとめちゃくちゃ小さくて最初はタイプミスしまくったが、そのうち慣れた気がする。しかしまぁ、よくこれでタイピングできていたもんだ。そういえば余談だが、最初の会社の某先輩(現在は某大某教授)は学会参加中にノートPCの上にトラックポイントのついているキーボードを重ねて作業をしていて、自分のスタイルにこだわることの格好よさを学んだ。いや、でもちょっとおかしいだろう。上述の「きみ、タイピング速いなぁ」先輩も同じようなトラックポイントキーボードを使っていた。さすがに外出先でノートPCの上に乗っけて使うことはなかったが。
その後、会社のノートPCをVAIO Zに変えたところ、キー間に隙間がある薄型キーボードに衝撃を受けた。なんて打ちやすくて楽なんだろう。VAIO Zのキーボードに慣れてしまった途端、HHKBのようなストロークが長いキーボードを体が受け付けなくなった。その後転職をしてアメリカに渡るタイミングでメインマシンがMacBook Proになり、同時に初めてMagic Keyboardを使うようになる。
改良されたMagic Keyboard 2はさらにタッチ感がよくなり、これこそが至高のキーボードだと思って今に至る。いろいろキーボードを試して気づいたのだが、薄いのでパームレストが必要ないというのは見過ごされがちな利点のひとつだと思う。すっかり忘れていたが、コロナ禍が始まってしばらくしたときに気分転換にRazer Huntsmanキーボードを試してみた。調べてみたらTournament Edition TKLというやつだったらしい。少し使ってみたのだが、キーストロークが深すぎて合わなくて慣れる気が一切しなかったので速攻返品した。今回でもわかったことだが、もはや自分は(少なくとも仕事には)ロープロファイルキーボードしか受け付けない体になってしまっているらしい。
そして2023年3月。なんかTwitter Timelineでキーボードの話題で盛り上がっている。調べてみるとKeychronやNuPhyというようなブランドが人気らしい。そんなわけで、色々試してみることにした。Keychronに関してはYouTubeやRedditを中心にリサーチをした結果、Keychronを中心に試すことにした。
- Keychron K2(赤軸、茶軸、青軸)
感想
- このキーボードで赤軸はない。指が許してくれない。
- 青軸が一番軽く感じる。茶軸はOK。長時間タイプをしていない。
- 青軸も茶軸も家族にうるさいと言われる(でもOK)
ロープロファイルをノーチェックだったので、よく考えると外付けでロープロファイルキーボードを買ったことがないかもしれない。そんなわけで今度はNuphyも試してみようと思い、以下の2つを追加購入。
- Keychron S1
- Nuphy 75 Air
感想
- Nuphyはちょっとキーのプラスチック感つが強い。好みの問題。感覚としてキーがS1よりも大きい。
- S1の堅牢感はすごい。強く叩いても筐体がぶれない。
結論から言うとKeychron S1が至高。今は青軸で使っているが、面白い発見はスタンダードのときには赤軸よりも青軸の方が軽いと思ったのに(実際は反発力が高い)、ロープロファイルだと確実にキーの反発力をより感じたこと。なんとなく茶軸の方がよさそうな気がするので茶軸を試してみたい。
その後
ロープロファイルの赤軸はスタンダードに比べて悪くないが、どうもすぐに指がつりそうな感覚になってしまう。というわけで赤軸は自分には合わない。
Optical Switch
- Orange:青軸よりちょっとだけ重い。軽い方が好きなので却下。
2つほどスイッチを白軸に換えてみたら、なにこれ軽い。素敵! という気分になったけれど、実際にしばらくつかれてみたらやっぱりゆびがつる感覚がすぐに出てきた。リニアは自分には合わないということがわかった。
タクタイル:ロープロファイルではなくはない。スタンダードだと辛い。
ちなみにKeychron S1はスイッチが交換可能なものだと思いこんでいたが、どうやら交換不可能なバージョンだったらしく、スイッチを引っこ抜こうとしてはんだづけされたスイッチをバキバキに壊してしまった。すべてのKeychronキーボードがスイッチ交換可能なわけではないので気をつけましょう。
とりあえず今回の旅はここで終了。キーボード沼に入る前に止めておくことにする(もう入っている?)。人生でまだスプリットキーボードを使ったことがなく、今回の旅ではそこに踏み込まなかったので、次回の旅ではスプリットキーボードにたどりつくかもしれない。
(2023年12月追記)
ここまで2023年3月に書いていたのだけれど、アップロードすることなく放置されていた。その後、以下のキーボードを購入した。カッコ内はスイッチの種類。
- Keychron Q2 Pro (Banana)
- NuPhy Halo65 (Baby Kangaroo)
- HHK Studio
- NuPhy Air60 v2 (Moss)
- MelGeek Mojo 84 (Holy Panda Apricot Brown)
Keychron Q2 Proと出会って、ロープロファイルじゃなくてもいいかなと初めて思えた。その後、NuPhy Halo65+Baby Kangarooの見た目も打鍵感もポップな感じが切り替えながら使っていた。
Apple Magic Keyboardに切り替えるまではHHKユーザだったのでワクワクしてHHK Studioを購入したのだけれど、どうも打鍵感がしっくりこなくてあまり使わずにいる。
NuPhy Air60 v2が出たので、久々にロープロファイルキーボードを追加しようと購入。いくつかスイッチを購入して比較したところ、以下のようなスペクトラムが自分の中で構築された。
Moss > Wisteria > Brown > Aloe (linear)
MossとWisteriaはBaby Kangarooに近い、ちょっとした引っかかりがあり、どうやら自分好みらしい。
ひたすらKeychronとNuPhyキーボードを購入してきたので、もうひとつの人気ブランドであるMelGeek Mojo 84を購入してみた。RedditレビューとYouTube動画の音をベースにえいやっと選んだHoly Pandaが大当たりだった。静かなのでオフィスでも使えるし、打鍵精度も高く、指が疲れづらい。今のところオフィスでの主戦キーボードになっている。
もうひとつキーボードで気づいたこととしては、 けっこうチルダを入力することが多いので、ShiftだけでなくFnキーを押さないといけないキーボードはキーボードをみないと操作できない。あとはGoogle Chromeのタブ切り替えのCommand+Optionを片手で操作したいので、これができないとちょっと残念な気分になる。いずれもキーのカスタマイズで対応できるのだけれど、できるだけ購入時のデフォルトで使いたい&カスタマイズは最小限にしたい(要は面倒くさがり)。
今度こそしばらくキーボードを買うことはないと思う。2024年はどうなることやら。
(2024年1月11日追記)
自宅の(ゲーム用)Windowsマシンにゲーム用キーボードが欲しいなぁ、とLogitech G915 LIGHTSPEED Clickyを購入。ロープロファイルでタイピング感も好きだけれど、若干軽すぎる感じるかな。音がうるさいのでオフィスでは絶対に使えないし、長い間タイピングをすると軽すぎて疲れそうなので本来の目的通りのゲームに使おう(大してゲームをするわけじゃないんだけれど、、、)。
純粋にタイピングスピード&精度という意味ではKeychron S1 青軸がダントツな気がする。Moneky Type 120wpm 100%が複数回出せたのはKeychron S1青軸だけの気がする。Logitech G915 Clickyも120wpmを出せたが、一回ミスタイプをすると指がもつれて一気にくずれる感じ(キーが軽すぎるからだと思う)。
そしてNuPhy Field 75 Electro の見た目に一目惚れして購入。スタンダードだと思うけれど心なしかちょっとだけキーが浅い気がする(たぶん気のせい)
- Fleeting Gold (Tactile)
- travel distance: pre-travel: 2.0±0.3mm; total travel: 3.3±0.3mm;
- force: operating force: 55±5gf; end force: 65±5gf
- Polaris (Linear)
- travel distance: pre-travel: 1.2±0.3mm; total travel: 3.3±0.3mm;
- force: operating force: 40±5gf; end force: 55±5gf
- Gateron G Pro 2.0 Silver (Linear)
- travel distance: pre-travel: 1.2±0.3mm; total travel: 3.4+0/-0.4mm;
- force: operating force: 42±15gf; end force: 50±5gf
の3つのスイッチを試してみたが、難しい。ちょうどこの順番にキーが軽くなる感じ。Feeling GoldとPolarisの差がキーの重さくらいしか感じられず、TactileとLinearということを知って驚き。Polaris / Gateron G Pro 2.0 Silver の軽さは魅力的で、Polarisは大学生時代に使っていた(そして京都言葉でうるさいと言われた)FILCOキーボードを思い出した。ただ、Linearは長い間タイピングすると疲れてくるのでこの中では一番重いFleeting Goldに落ち着きそう。
Gateron G Pro 2.0 Silver は軽すぎて疲れちゃう感じがする。Field 75はいろいろとマクロキーがついているので何に使おうか考え中。
(1時間後追記)あかん、Fleeting Goldですら軽すぎた。肩がこるのでこれは使えない。やはり実際に仕事で使ってみないと感覚がわからないものだなぁ。タクタイルだとBaby Kangaroo on Halo 65がいい感じなのでそれに近いRose Glacierを使ってみようか。
2024年1月22日追記
結局Field 75はRose Glacierにスイッチを替えていい感じになったのでその後職場の一本目キーボードになった。
そしてCherry MX 8.2 TKL (Brown=Tactile) を衝動買い。これはスイッチを交換できないものなのでドキドキしていたが、タクタイルとリニアの中間くらいか、↑でも同じことを言っていた気がするが、学生時代に使っていたFILCOキーボードに限りなく近い気がする。少し軽いか。音はタクタイルにしてはクリッキーに近いのでちょっと職場では使いづらいかも。かなり良い感じでMonkey Type初回一発で115 wpm 100% が出た。これは当たりかも。