クラウドからAIへ

(2014-04-14読了)

Kindle版で読んだ.新書や小説のようにすらすら読める本はKindleでもよいのだけれど,考えながら読む本はKindleでは厳しいなぁという感想.

技術者や研究者向けの内容ではないが,AIの歴史をざっと眺めるのによい.

クラウドビッグデータというワードの次に来るのがSiriをはじめとするエージェントすなわちAI技術である,という切り口からAIの歴史を振り返り,現在のAI技術が産業界にどのような形で使われているのかを概説している.

チューリングテストやサールの中国語の部屋 (本文では中国語の部屋という呼称は使われていなかった) などについてもさらっと触れており,ニューラルネットワークが2回迎えた冬の時代 (1回目パーセプトロンの限界,2回目SVMの登場によるMNNの人気没落) などについても説明してある.

AIの歴史をちょこっとだけ学んだことがあるのでブルックスの名前と思想は知っていたが,なんとルンバを作ったiRobot社を立ち上げたのもブルックスだとは知らなかった.知って納得.

カタカナ語になっているのでポインタとしてそのまま使えないかもしれないが,使われている技術の名称に言及しているので,技術に対する素人が専門家に聞く際の手がかりになるかもしれない.

技術的には深堀りしていなくても,このページ数でこれだけの内容をさらっと書けるのはすごい.そんなわけで,ピンポイントで深堀りしているが全体像をなかなかつかめない学生や,非技術者に対するAI入門書的な位置づけとしては良書.

メモ

  • モンテカルロ・ローカライゼーション
  • ジョン・ヘンリーの伝説
    • アドバンスド・チェス
    • カスパロフ戦でチューニングしたディープブルーは本当に機械だったのか? (一種のアドバンスド・チェスのような気がする)