腰痛はアタマで治す

腰痛はアタマで治す (集英社新書)

腰痛はアタマで治す (集英社新書)

(2011-01-03読了)

本棚に入っていて読んでいなかった本.もっと早く読むべきだった….
著者は「ぎっくり腰」が原因で引退に追い込まれた元プロサッカー選手.最初の方に書かれているが,激しいトレーニングに耐えられたにも関わらず,ふとした瞬間に起こるぎっくり腰が定期的に起こり,その都度リハビリから開始するという症状に悩まされて引退したのだという.単純な筋力増加やスポーツのためのトレーニングでは,腰痛予防にはならないということを示唆している.年初めにトレーニングとかいっていたけれど,ノーぎっくり腰のためにはちゃんと考えなければと思った.

簡単にいうと「腰痛の真の原因を特定するのは難しいし,また,原因はひとつではないことが多い」ということと,普段の生活において腰痛予防のための身体のバランスを治す方法などが書かれている.

筋肉は,電車の線路のように「ある範囲」をカバーしている.トリガーポイントと呼ばれる痛みの震源地が線路を伝って,広範囲に影響を与え,身体のバランスを崩すのだという.痛みを感じるトリガーポイントであれば特定が簡単だけれど,身体の問題箇所の痛みを遮断するという人間の性質上,トリガーポイントの特定が難しいケースもあるらしい.本書ではいくつかのトリガーポイントの発見方法と対処法が書かれている.

また,一般的に言われている「良い姿勢」は必ずしも人体構造上の良い姿勢ではないといい,第5章「壊れない腰のつくりかた」ではニュートラルポジションという腰への負担を減らし,身体パフォーマンスを向上する姿勢を紹介している.

これを見て,アメフトのフットボールポジションの姿勢そのものだと気が付いた.スポーツ経験者にはいわゆる「腰を入れる」状態といえば伝わると思うのだけれど,小中とやっていた野球では「腰を入れる」という姿勢を直接的には一度も教わったことがなかったけれど,高校で始めたアメフトでは最初に習った.どのチームでも最初に教える姿勢だと思う.おそらく,コンタクトスポーツではまず首と腰の怪我を防ぐための方法を伝えるのだろう.

自分自身がスポーツ経験者ということで著者に感情移入したのかもしれないし,腰痛本は他に読んだことがないから断言はできないが,本気で腰痛予防をしたいという人にはおすすめの一冊だと思う.

「アタマで治す」というタイトルが気に入っている.病気も同じだけれど,腰痛は適切な投薬/手術/処置をすれば完治するわけではない.問題個所だけでなく,身体全体のことを「考えて」治すという著者のメッセージが込められている.

本書を読めば,たとえ自分自身ではどうにもならなくても,然るべき処置を行ってくれる医者,トレーナーを判断することができるようになると思う.