いますぐ書け、の文章法
- 作者: 堀井憲一郎
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2011/09/05
- メディア: 新書
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(2012-01-11読了)
ライターである著者が文章書きに対する考えをつづっている.本書の2行でまとめると以下の2点に絞られる.
- 文章はサービスだ.(pp.16-19)
- 文章はあくまで個人から発するものである (p.65)
また,本書は改行が多いのが目立っているが,これも著者の工夫.確かに読みやすい.テンポのよい論調で力強く語っているけれど,以下の点は特に印象に残った.
繰り返します。
まず何よりも先に仮説を立てる。そのあと調査。仮説とは "予想される結論" です。
だから、まず結論を考える。その結論を証明するために調査をする。
「調査をして、それを集計すれば、新しい何かが見つかるだろう」という考えを、とにかく即座に捨ててください。いますぐに、です。いま、その考えを頭の中から出して、丸めて、左手に持って、すぐにゴミ箱の中に放り込んで、二度とおもいださないでもらいたい。これはとてもとても大事なことです。
(p.87)
研究に実験が伴う理工系の人間であれば,耳たこのセリフだと思うけれど,物書きにおいてもやはり同じらしい.さて自分の反省は以下のようなルーチンに陥ってしまうこと.
- (1) 新しくxxという国際会議で提案された方法が面白そうだったので実装してみた.きっと何かのタスクに役立つだろう
- (2) 2,3個のデータを食わせてそれっぽい結果が出る.ただ,state-of-the-artな性能は出ない
- (3) あー,うまくいかなかったかー.そのまま放置
(2)の時点で仮説を立てて実験に挑まなければならない(例「きっとxxという点において良い性能を発揮するはずだ」).そうすると,おのずと実験すべきデータがはっきりとしてくる.想定通りの結果が出ても出なくても,新たな仮説を立てて次のステップに進む.もちろん(1)の段階で「きっとxxに役立つはずだ」とアタリを付けることがもっと大切なのだけれど.
というようなことを本書を読みながら思ったりした.
それにしてもとてもリズムの良い文書.