頭の良くなる「短い、短い」文章術
頭の良くなる「短い、短い」文章術―あなたの文章が「劇的に」変わる!
- 作者: 轡田隆史
- 出版社/メーカー: 三笠書房
- 発売日: 2005/04
- メディア: 単行本
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(2011-04-09読了)
以前読んだ「エンジニアとしての生き方」のおすすめ図書にあったので中古本を購入.どうやら絶版の模様だけれど,読了してみてこれが絶版とは非常に勿体ない.
著者は朝日新聞夕刊コラム「素粒子」で8年間210字の短文を書き続けてきた経験をもとに短い文章術について書いている.
なぜ短文が重要なのか,という問いへのひとつの答えとして
わたしたちの日常を振り返って考えてみると、わたしたちは頭のなかで絶え間なしに「予定稿」や「想定問答」を作文しながら生きているのである。
(p.17)
すなわち,短文を作る力というのは書くことだけではなく,話す場合においても基本能力になるのだという.手紙然り,スピーチ然り,確かに言われてみればそのような気がする.
また,
人生とは、自覚、意識せざる「自問自答」の連続なのである。決断とは、自問自答に確固たる答えを出したことであり、迷い、とか逡巡とかは、自問自答にいつまでも答えが出せない状態を言うのである。
(p.85)
という書き出しで推敲の方法について述べている.自分の中にふたりの人物を出して,文章を書く人間と文章を読む人間を作り出すのだという.
もともと「書く」という作業とは、自分がいま書いている文章を、自分で読みながら進める作業なのだ。だれだってそうしているのに、多くの人びとは無意識に、自覚なしにやっているのだ。「書く」ことのに気を奪われていて、実は読みながら書いていることを忘れている。読まなければ、書けないのだ。
(p.84)
本書の中で,一番著者の気持ちが伝わってきた部分.
まず始めに言い切るという方法.
「AはBである」プラス「補足説明」の定型を重ねる虎の巻 (p.118)
- まずポンと言い切る
- それはなぜであるかを補足説明する
- 話題を展開する
- それはなぜであるかを補足説明する
例えとして夏目漱石「吾輩は猫である」の冒頭を例に挙げている.
吾輩は猫である。名前はまだない。
どこで生れたか頓と検討がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。
インパクトがある最初の一文の後に,なぜ名前がないのか? ということに答える補足説明の文が入っている.このように
本書を読んで,自分も本書に倣って短文を書いてみた.
土曜日が好きだ.
土曜日のおかげで金曜日に夜更かしができる.
日曜日があるから土曜日は自由に過ごせる.
私はそんな土曜日が好きだ.
これを書いているのもまさに土曜日の夜中なのだけれど,これを読んだ人に僕が土曜日を愛する気持ちが伝わるのだろうか.
メモ
- 書くべきことの出発点は感動.書きたい,という気持ちが大切
- これを書こう,というときの「これ」さえ面白ければ,書く技術はあとからついてくるもの.
- 最初に書く字数を意識する.特にPCに向かって書くと意識しなくなることが多い
- 神は細部に宿る
- 日常,何を書くにしても,字数を意識し,何字書いたかを承知しておくように (p.66)
- 文章の題が出されたとき,最初に思いついたことはほかの人も思いつくこと.二番目もまだ危ない.三番目に思いついたことなら,まずかち合うことはないだろう.(p.185)