カモメになったペンギン

カモメになったペンギン

カモメになったペンギン

(2007-12-01読了)

原題は"Our Iceberg Is Melting"。
「チーズはどこに消えた」の著者も絶賛する組織変革の本。


ペンギンたちが暮らしている氷山の危機によって、最終的に
氷山に住み着くという文化を捨て、「渡り鳥」になったペンギンたちの
寓話によって、組織を変革する核について解説している。


5人のペンギンが登場する

  1. カリスマで、まとめ役のルイス
  2. 実務をこなし、がんがんプロジェクトを進めていくアリス
  3. 第一発見者で問題について熟知しているフレッド
  4. 野心はないが、モテ男のバディ
  5. 知識、理論は抜群だが、チーム作業が得意ではない「教授」ことジョーダン

リーダーのルイスすごすぎだろう。という感想。いかにも欧米的なストーリーなので、「日本式」にもそのまま通用するだろうか?


チームにバディを入れたのが面白かった。改革の良い面を理解させれば組織が変わるものではない。得てして論理では起こりえない「悪いニュース」をいかに縮小するか、ということが重要になってくる。寓話の中ではバディはそれを退治する役を買った。
これについては、実際の場合ひとりで務まるとは思わない。むしろ、どうやって退治するのかという方法論が重要になってくると思う。


日本版の場合は、ノーノーが5人くらい出てきそうな気がする。
ただ、本書に足りないのはノーノーのような人物が組織には「必要」であるということ。
もしかしたら、ノーノー自身が第2のフレッドになりうるのだから。最後まで頑固者で終わらせたが、一言付け加えるだけでかなり変わってくると思う。


そういう点で「組織の多様性」の重要性については解説していなかったような気がする。一応、全体集会を行った際に、ペンギンたちをいくつかのクラスタに分けて、集会の効果について解説していたが、組織全体として多様性を持っていないと、そもそもこの話は成り立ちませんよ。ということを前面に押し出してもよかったと思う。


いずれにせよ、教授がパワーポイント97枚用意したのには笑った。
こういうジョークがいえる人間になりたいものだ。