フリーソフトでつくる音声認識システム
フリーソフトでつくる音声認識システム パターン認識・機械学習の初歩から対話システムまで
- 作者: 荒木雅弘
- 出版社/メーカー: 森北出版
- 発売日: 2007/10/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 45人 クリック: 519回
- この商品を含むブログ (39件) を見る
(2007-11-29読了)
タイトルが誤解を招きやすいのだが,音声認識システムというストーリーの中でパターン認識と機械学習の基本と具体的なツールの使い方の解説書.
さらに音声認識の場合は,言語モデルを用いるため,統計的言語モデルの話も出てくる.そういう意味で,内容がかなり網羅的.
本書はまえがき(あとがき)で書かれているように,わかりやすいパターン認識を読む前の入門の入門のような位置づけだという.読んでみるとそれがよくわかる.
数学に馴染みがあれば,わかりやすいパターン認識から始めてもよいのだが,それだとイメージが沸きづらいので,入門を始める前のイメージづくりに最適.
学部3年生程度を対象にしているとあるとおり,演習問題の難易度もちょうどいい.輪講で使う本になると演習問題が難解な上に解答がついていないために,手をつけられないというものも少なくない.
本書に含まれている演習は,「手を動かしてみよう!」程度のレベルのため,その場で解くことができる.
後半では,HTK(Hidden Marcov Model Toolkit)の具体的な使い方が紹介されている.研究で使うようなツールには,こういったチュートリアルがないことが多く,実際にマニュアルを読みながら使いこむことによって使い方を覚えていく,ということが多いような気がする.チュートリアルという意味で重宝するのではないか.
研究室に配属された新4年生に渡して「読んで来い」といえるくらいまとまっている本.
(ただ,音声認識というストーリーになっているので,音声認識に興味がない学生は後半部分は不要かもしれない)