ハーバードでも通用した研究者の英語術―ひとりで学べる英文ライティング・スキル
ハーバードでも通用した 研究者の英語術〜ひとりで学べる英文ライティング・スキル
- 作者: 島岡要,Joseph A. Moore
- 出版社/メーカー: 羊土社
- 発売日: 2010/03/25
- メディア: 単行本
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(2014-06-07読了)
ハーバード大学医学部留学・独立日記のブログ (2011年から三重大学に移られたらしい) でもおなじみの島岡要氏の著書だったので思わず購入.
読んだつもりになっていたけれどずっと積読になっていたのでちゃんと読んだのでメモ.
以下の6つの章に分かれて書かれている.
もともと英語論文書きの勉強になるかと思って購入したので,1.アブストラクトのところだけ読めばいいやと思って読んでいたのだけれど,それ以外も基本的には「想定読者を自分が望む状態に持っていくための,説得的な文章の構成とは何か」ということと,その書き方と実例が挙げられているので参考になった.
本章で特に覚えておきたいのは以下の2点.いずれも1章で述べられている.
アブストラクトは通常本文を書き終わらないと書けないものである.しかし,あえて本文を書く前の段階で一度アブストラクトを書くことによって,自分の中で整理しきれていない部分が明確になるため,一度ここで「生みの苦しみ」を経験しておくのがよいと書かれている.
その際に用意しておく情報として以下の「快適に第一稿を書き始めるためのフレームワーク (p.27) 」に対応する情報を用意する.
- 1 研究の背景
- 2 研究する問題や問い
- 3 研究の目的
- 4 研究の肝となる方法と結果
- 5 主要な研究成果
- 6 研究の結論
- 7 研究の意味付け
第一稿を仕上げればすぐ指導者に見てもらい,楽になりたい衝動にかられますが,ぐっと辛抱してください.実は自分で書いた第1稿を自分で訂正・改善していくセルフ・エディティングの能力を育てることが,英語ライティング・スキルの向上の要なのです.
...
数十回はアブストラクトをセルフ・エディティングすることをお奨めします.数十回のセルフ・エディティングのために十分な時間を最初から計画に入れておきましょう.
(p.23)
これは耳が痛い.特に最初の一文はその通り.英語に限らず,セルフ・エディティングを習慣づけたい.しかし,どうすればセルフ・エディティングをできるようになるだろうか.日数をおけば他人の文章になるとはよく言われるが,なかなか書き直す気がおきない.気合と根性以外に良い仕組みがあればぜひ知りたい.
さて会社の資料作成においてはこれとは逆の習慣 (=すぐ見せる) の方がよいケースもあると思っている.まず40%の出来でもよいからとにかく早くメンバーや上司に共有してフィードバックする.限られた時間の中で完成度を上げるという意味では効率がよい.その意味で企業研究者は頭のモード切り替えが必要だとつくづく思う.もちろん大学の研究者もそういった側面は多分にあるのだろうけれど.
カバーレターというものをちゃんと知らなかったのだけれど,そもそも投稿された論文がすべて査読されるわけではなく,カバーレターでフィルタリングをされたものだけが査読をされるらしい.情報系では自分が知る限りは,論文は投稿すれば査読されるものという感覚があったのでこれは新鮮だった.カバーレターに論文査読にふさわしい人,ふさわしくない人を個人名を挙げて記述するという点も新鮮.
例文がすべて医学系のため,自分にとっては謎の言葉ラッシュで読むのが少し辛かったというのが本書の唯一の欠点.あとは工学寄りの論文の書き方はまた少し違うのだろうなぁと思った.
以上,このブログ記事は書いてそのままアップしている.セルフ・エディティングなしである.明日からセルフ・エディティングやろう.