ヒラノ教授の論文必勝法
ヒラノ教授の論文必勝法 教科書が教えてくれない裏事情 (中公新書ラクレ)
- 作者: 今野浩
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2013/12/09
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (11件) を見る
(2013-01-06読了)
好きなヒラノ教授シリーズ最新刊? ヒラノ教授シリーズとは違うけれど今野氏の著者は すべて僕に任せてください 以来.
以下,適当なメモ.
OR分野では情報系と異なりジャーナル重視であるという点で異なるものの,あとはおおむね参考になる内容.レフェリーに多少蹴られても何が役に立つかわからないからとにかく投稿しなさいという論調.線形計画法の父であるDantzigが線形計画法の考案した当初,フォン・ノイマンとのディスカッションを通じて双対定理が成立することを予想し,その後証明をレポートにまとめたが,ジャーナルにするまでもないと投稿しなかったという.その後KKT条件で有名なキューン,タッカーとゲールが独自に双対定理に関する証明を論文発表をしてしまい,歴史上彼らが発明したことになってしまったという.
偉大なOR研究者なのだけれど,自身をエンジニア (工学研究者) と呼んでいるのが印象的.自分はエンジニアだから100年後に役に立つことではなく,今役に立つことをやっているのだ,というような表現が出てくる.
あとは研究は運の要素が強いので,結果が出ない (スランプが続くことをスプランと呼んでいるらしい) 時期にいかにそれをしのぐかということが大切ということが書かれている.
いやはやしかし,かなり謙遜している部分があるが,カーマーカー特許 (線形計画法のカーマーカー法) の特許成立無効の訴訟を起こしたり,ジャーナル投稿にあたっては編集長とバトルをしたりと,非凡な行動力とエネルギーを持った方だと再認識.
"独創性は20歳でピークを迎えて以後減少して70歳で0になる.一方20歳で0だった分析力は時間とともに増大する,研究者の生産性は両者の積が最大になる45歳でピークを打ち,その後単調減少して70歳でゼロになる (p.157)" というノーベル物理学賞を受賞した江崎玲於奈博士の言葉を引用しており,30歳になってだいぶ自分の頭が変わったなと思った自分はなるほどと思った.
その他のメモ
- 拙速をよしとする
- 巧遅は拙速にしかず,を心がけようと思った
- 謦咳 (けいがい) に接する
- 今振り返るとそう思う