学者になるか、起業家になるか
- 作者: 城戸淳二,坂本桂一
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2011/11/16
- メディア: 新書
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(2011-01-02読了)
アドビシステムズ日本法人をはじめ,数多くの会社を創業した実業家の坂本桂一氏と有機EL照明を開発した城戸淳二氏の対談.40-50個のトピックについて一人ずつ交互に語る形式になっている.
特に印象に残ったトピックは以下のとおり
- 1日24時間×週7日、仕事を考えられますか? (坂本) (p.33-)
- 実験の経験が少ないと、失敗の原因もわからなくなる (城戸) (p.35-)
- 実験結果そのものに、失敗という存在はない (城戸) (p.43-)
- 自分で「マニュアル」を作って理由を考えさせる (城戸) (p.86-)
- 解き方よりも本人が勉強するモチベーションを (坂本) (p.118-)
- 「ゴール・オリエンテッド」が何よりも大事 (坂本) (p.148-)
- 「調べること」と「考えること」を混同するな (坂本) (p.165-)
この中でも「1日24時間×週7日、仕事を考えられますか?」の以下の文章は特に印象に残った.
先ほども少し触れましたが、私は有名メーカーでエンジニアをやっているような人は、ある意味かわいそうだと思います。恵まれすぎた環境で働いてきた人たちが、独立してビジネスを始めるという点では、成功する確率はかなり低いのではないでしょうか。
会社に守られ、組合に守られ、権利ばかり先行している会社で育つと、家族を捨ててビジネスを興そうなんて発送はありませんからね。
(p.34)
これを読んでどきっとした.本当に自分は寝食を忘れて研究しているのだろうか,「恵まれすぎた環境」に甘えているだけではないだろうか.「ビジネス」という言葉を「研究」に置き換えると耳が痛い.
研究とビジネスは似ていると考えている.研究者は企画・営業をしてお金を集め,集めたお金で研究開発を行い,成果を販売 (発表) する.そして次の営業につなげる.自分が個人事業主だと考えたときに "ビジネス" しているか,といわれると厳しい.
ふたりの経歴は異なるものの,ふたりに共通する点として積極的に読書を行うという点があった.特に坂本氏は学生時代には年間500冊読んだというからすごい.しかも,速読はせずに,考えながらゆっくり読むのだという.今年は100冊を目標にしているけれど,ただ読むことを目標とせずに,頭を使って読むようにしたい.