すぐやる!技術

すぐやる! 技術 (PHP文庫)

すぐやる! 技術 (PHP文庫)

(2011-12-29読了)

品川駅で人待ちしているときに衝動買いした本.

行動してナンボ.アイディアを実行してナンボ.という著者の哲学を紹介している本.割と考えるだけ考えて,実行やアウトプットまで結びつかずに終わってしまうことが多いので本書を読むことにした.

よく会社では7割の出来でいいから仕事を仕上げろ,というようなことを言われるが,それについても仕事を早く仕上げることの大切さについて説いている.同時に,その結果,上司やまわりから受けた指摘によって恐縮してしまい,どんどん行動ができなくなってしまう恐れについても言及している.自分自身の経験では,日本人の気質なのか,技術職の傾向なのか,後者の問題が前者のモチベーションを妨げているように見える.

自分を振り返ってみると,割り込み仕事が入った場合,優先順位を考えて,抱えている課題が締切までに間に合うかということを考える.しかし,ただし,終わってみれば新しく受けた仕事が予想以上に時間がかかり,前から持っていた仕事が締切に間に合わないというケースが非常に多い.本書のPART1に「仕事に優先順位をつけるな」という表題がついているとおり,優先順位をつけずに目の前の仕事を7-8割で仕上げるスピードを上げるという方がいいのだろうか.なかなか難しい.

PART2「アイディアを組み合わせる」ではまったく新しいアイディアを考えるのではなく,既存のアイディアをアイディアノートに書いていると,ノートの上でアイディアとアイディアが化学反応を起こし,新しいアイディアが生まれることがあるという.特許の世界では1+1が3になるような発明が特許にされる.1+1=2という発明は従来技術の「容易に想像できる」組み合わせと見なされる.一見脈絡のない既存のアイディアを羅列すると予想しない発明の効果を思いつくかもしれない.

これは自分の話ではなく,会社の先輩からの受け売りだけれど,入社時の上司に言われたことが,研究者たるもの一日3本は特許になるようなアイディアを思いつかなければいけないと言われたという.入社以降ラボノートをつけているが,アイディアについてはあまり書いていない気がするのでアイディアを出しては記録するという行為を習慣化したい.

結局、甘い考えがいいと思うのは、甘い考えは「これまでにないこと・もの」を思いつくから「甘い」と言われるわけで、それがうまくいけばそれはすごく面白いことだと思うからです。
(p.58)

この言葉に,できない理由を考えるよりも,できる理由を考えようという著者の哲学が表されているような気がする.

ただし,本書を読む限りは著者は先天的か後天的かはわからないが,実行力は相当高かったと思われる.どちらかというと,どうすべきか,というよりも (それは読者も重々わかっていると思うので) どうなったらそうなれるか,実際に著者がどのように実行力を身に着けたのか,というところを書いてほしかったと感じた.