オイラーの定理と呼ばれたこの子をどうにかする (テイラー展開編)

の訂正版.

@stakemuraさんに頂いたコメントの後,しばらく考えていた.確かに定義と言われるとそうなのだけれど,僕には少し馴染みのない式展開で,どうも頭に入らなかった.

定理と呼ぶまでもないというコメントも頂き,オイラーの定理と呼ばれたこの子をもう少し簡単に説明できないものかと考えていた.(いちおう言い訳しておくと,サポートベクターマシン入門の訳者がそう書いたんであって,あたしじゃないからねっ)

そこで逆の発想をすることにする.expの定義から導くのではなく,expのテイラー展開をすればよいという方法を取ることにする.expの0におけるテイラー展開 (マクローリン展開) は,

(2011-04-13追記) @syou6162さんのご指摘により修正しました.ありがとうございます.

e^x = 1 + x + \frac{x^2}{x!} + \frac{x^3}{3!} + \cdots

なので,右辺の最初の二項だけに注目すれば,

e^x > 1 + x

ここで,x = \frac{a}{x} とおく (前回の記法と合わせるため,別のxが出てきて混乱してしまうが,ご容赦)

すると
e^{\frac{a}{x} > (1 + \frac{a}{x})

両辺をx乗すると

e^{a} > (1 + \frac{a}{x})^x

おぉ! オイラーの定理 (仮称) が出てきたではないか!
というわけで,指数関数のテイラー展開で導くことができましたとさ.(おしまい)

まぁ,けれど数学的素養がない人間が,適当なことを書いたおかげで色々な方々にアドバイスやコメントを頂くことができて,とても良い経験になった.ありがとうございます.また,あーでもないこーでもないと考えているときはとても楽しいし,自力でたどり着いたときのアハ感は子供のような感覚で気持ちよかった.

さて今回もテイラー展開天下り的に使ってしまったけれど,テイラーの定理までは,所与のものとする.微積分の教科書を読んでいると「ロルの定理 => 平均値の定理 => テイラーの定理」という一連の定理と証明の流れを見て,あぁ,こんな当たり前にとても大切なことをスルーしていたとは,というなんだか悲しい気分になった.