日本的ソーシャルメディアの未来
- 作者: 濱野智史,佐々木博,ソーシャルメディア・セミナー
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2011/02/04
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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(2011-02-24読了)
日本におけるソーシャルメディアの解釈やFacebookのような実名式のSNSがなぜ日本で流行しないかなどについて対談形式で語られている.
ポイントは「コミュニティ」と「ソサエティ」の違いと,「コミュニティ」の在り方の変遷と解釈した.
本書でもコミュニティとソサエティの定義の違いについて書かれているので一部抜粋.
- コミュニティ
- 地域共同体,家族共同体
- 小さい規模
- 自由意思で選択不可
- 顔の見える関係性
- ソサエティ
- 都市,国家
- 大きい規模
- 自由意思で選択可能
- 見知らぬ者同士の関係性 (匿名的)
本書のポイントは,ネットコミュニティにおいては,近代化によって困難になっていたコミュニティの中での時間共有が再び可能になったこと.そしてそれによって,今まで不可能だったコミュニティ形成が可能になったという解釈である.
別の言葉で言い換えると,コミュニティの中では時間が共有されている.たとえば同じ部活であれば,当然同じ時間に同じ場所でみんなで練習を行い,同じ時間,同じ場所で試合を行う.しかしながら,ネットコミュニティの場合には,必ずしも同じ場所にいる必要がない.これによって,今まで不可能であった形で,コミュニティにおける時間の共有が可能になったと述べている.
- 原始共同体
- 時間は共同体に埋め込まれいた
- 近代社会
- 時間は抽象的なものとして,共同体から「脱埋め込み化」された
- 情報社会
- 再び同期的な時間制が選択的になり,疑似的に生成されるようになった
- 時間の共同体への「再埋め込み化」
たとえばニコニコ動画の場合には,動画に対するコメントを表示することによって,疑似的に同じ時間を共有している感覚を引き起こすと解釈している.
普段読みなれない類の本なので,非常に平易に書かれているはずなのに何が書かれているのかを捉えるのに時間がかかってしまった.いろんな本を読まないと頭が固くなるなぁと感じさせてくれた一冊.