眠れるラプンツェル

眠れるラプンツェル (角川文庫)

眠れるラプンツェル (角川文庫)

(2009-01-30読了)

またまた山本文緒.今まであまり好きになれなかったが,この小説は割と好きだった.
夫がなかなか帰ってこない専業主婦が隣に住んでいる中学一年生に恋をする物語.
ラプンツェルグリム童話なんですね.2010年にディズニー映画化予定とか.


物語の最後

それは,馬鹿馬鹿しい夢物語だった.絵空事だった.
けれど,想像すると本当になる.
(p.294)

現実は儚い.些細なすれ違いで別れることもある.特に年齢差や距離など,自分の努力ではどうしようもないことがたくさんある.けれど,どうにかしたい,きっとどうにかなるに違いない,という根拠のない自信,切実な願いを込めて日々を過ごす.まぁ大抵どうにもならない.
誰もが経験するであろう気持ちを具現化したものといえる.

中学生くらいの,好きな子のことを考えるだけで胸のあたりが甘酸っぱくなるような,そんな感覚を少しだが思い出すことができた.