問題は、躁なんです 正常と異常のあいだ

問題は、躁なんです 正常と異常のあいだ (光文社新書)

問題は、躁なんです 正常と異常のあいだ (光文社新書)

(2009-01-24読了)

タイトルの通り,そっち系の本で著名な春日武彦が躁について語る.それにしても専門家とは思えないくらい読み物風に文章を書く人だなぁと再認識.


躁は鬱と違い,「人格」との違いがわかりづらい.
躁病のケーススタディの紹介がたくさんあるので,なるほどこういう解釈ができるのか,と思ったが
人格の問題と躁病の境界線であったり,治療方法,予防方法などについてはいまいちよくわからなかった.


これは面白い.

思春期まっただ中の青少年を相手にロールシャッハテストを行うと,統合失調症の患者を相手に行ったときと結果がきわめて似ているという
(p.43)


こういう解釈もあるのだと思った.

躁状態の人物はあたかも軽薄で底が浅いように見えたりもするけれど,逆に,何か重大なことを隠蔽すべく必死に躁であろうとしているように見えることもある,
(p.192)


あとがきに書かれている著者の執筆動機がものすごく印象に残った.

わたしが本書を著すに至った動機のうちでも大きなもののひとつとして,
「俺は近いうちに躁状態を呈して自分の人生を陳腐な喜劇へ貶めてしまうのではないか,いやもうとっくにそうなっているのに自分で分かっていないだけなのではないか」
という切実な不安があった.
(p.194)

実はこれこそが僕が本書を読んだ動機であるからだ.著者も同じ悩みを抱えているだろう.自分が「おかしく」なった時のための予防,対策をどうすればいいのだろう.
よく不安になるが,どうしようもないような気がしている.

メモ