「20代」でやっておきたいこと

「20代」でやっておきたいこと

「20代」でやっておきたいこと

(2010-01-10読了)

本屋で見かけて,そろそろアラサーと呼ばれる年齢になってしまい20代も残り少なくなってきたので,読んでみようと購入.去年読み終わった「20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義」の隣に置いてあった.

読み終わってみるとなんだか,自分がお世話になっているベテラン先輩に飲みながら教わったような気分になった.「ココがすごい!」ということをうまく伝えられないけれど,学生よりも若手の社員が読むといろいろと感じることがあると思う.最後の方にも書いてあるけれど学生が読むと「なんだよ,こんな当たり前のこと!」と感じて終わる気がする.若手社会人だと,当たり前がやっぱり大切だよなぁというような感想を持つのではないかと思う.


本書の中で一番共感したのは「知らないことはどんどん聞こう (p.99)」のくだり.最近の若い人は「人に聞く」ということをあまりしなくなったと感じている.著者はその理由を3つ挙げている.

  • 若い人が人に聞かない3つの理由
    • 検索
    • 気の弱さ
    • 問題意識の希薄さ

また,「人に聞く」ことの大切さを説明するために,坂本龍馬の例を挙げている.

坂本龍馬という男は、人に聞くのが非常にうまい人間だった。わからないことを何でも聞いて学んだ。「耳学問」が、彼の受けた教育のほとんどを占めていた。
(p.100)

これにはとても共感した.自分自身も「人に聞く」ことでたくさんのことを学んできたから.よく熟知した人の説明は,たんなる文献の解説を凌駕する知見に満ち溢れている.「なんでそうなるんですか?」「なんでそれがいいんですか?」と質問するだけで,その人が長年蓄積してきた知見に基づく意見を聞ける.こんなに素晴らしいことはない.

著者は問題意識の希薄さという表現をしているが,自分自身の経験を思い返すと「当事者意識の低さ」も問題のような気がする.

学生時代,研究室の輪講や研究進捗発表では,同学年の修士メンバーが全員参加しているものの,基本的に指導教官と発表者のやりとりが中心となり,その他のメンバーは関心を持たないか,間違った発言をすることを恐れてか黙ってしまうことがほとんどだった.

せっかく発表者が前回の進捗報告からがんばって得られた知見を共有しようとしてくれているので,自分がわからなかったことは質問するし,思ったこと,何かの役に立ちそうな情報をアレコレと意見を言ったものである.間違った情報を伝えてしまったり,とんちんかんな発言もずいぶんしてしまったと思うけれど,自分の研究とはほとんど関連性のない数人分の研究テーマに関わる知見を蓄積できたわけなので,自分自身の成長という面ではこの経験がとても役立っていると感じている.このように「当事者意識を持つ」ということの重要性を学んだ気がする.


上司に意見を言うときの5つのポイント (p.70-) に書かれている「つねに相手の立場に立った見方を忘れない」という言葉は,自分自身が入社直後に直属の上司に言われた言葉と全く同じだったので驚いた.入社して3年が終わろうとしているけれど,少しはできるようになったのだろうか...


Amazonレビューを見ると,なかなか評価が低い.「当たり前のことしか言っていない!」というような批評もあったけれど,つまり「当たり前のことが一番大切」と言ってくれているのではないだろうか.そして,よく言われることだけれど「当たり前のことをやるのが一番難しい」,だからこそ当たり前のことを意識しようというメッセージなのではないか,と思っている.

さて,残りの二十代をどうやって過ごそうか.ちょっと考えてみたい.


あとは付箋だらけになってしまったので,気に入った箇所だけをメモ.

メモ

  • どんどん失敗する
  • 二十代の愚行のすすめ: もうやりきれないと思うほど{遊ぶ|勉強する|何かに打ち込む}
  • 人の気持ちを忖度 (そんたく) できる人間になる
    • 研究もある意味「忖度」が重要?