後手という生き方

(2007-11-17読了)

61年ぶりのプロ編入試験に合格し,サラリーマンからプロ棋士になった瀬川晶司の著書.
「プロ」には誰でもなれる,「後手」にも強さがある,など後手人生に心強いことが書かれているが,「将棋を始めるのに(プロになるのに)若いことに越したことはない」とも考えていることも忘れてはならない.


毎日3時間勉強すればプロになれる,というが働きながら毎日3時間をつくって将棋の勉強を続けていたことは,それだけで才能のような気がする.

興味深いエピソードは,海外からやってきた競馬のジョッキーが,馬主の接待を受ける際に「減量しているので頂けません」と言わずに食べるだけ食べて後でトイレで指をつっこんで吐く,というもの.これが必ずしも素晴らしいこと,良いこととは限らないが,プロ意識とはこういうことを言うのだろう.「根っこ」を持つこと,プロ意識を持つことは案外似ているのかもしれない.


遠回りすることによるメリットは「豊富な経験によって,挫折をしにくくなる」ということに要約できそうだ.「スタートラインは違う」「ライバルは既に先を走っている」ことは忘れてはならない.


それにしても,棋士は対戦のない日は詰め将棋と,棋譜の読みこみを勉強するらしい.なんか論文を読むみたい.