アイディアのちから

アイデアのちから

アイデアのちから

(2012-05-01読了)

ひさびさの読書.今年はたくさん読む宣言したのに,すっかり読書から離れてしまった.

さまざまな演説やCMあれど,その後も人々の印象に残り続けるアイディアにはどのような特徴があるだろうか.都市伝説や著名な演説などを例に共通項を見出し,以下に述べるSUCCESという6つの観点を持つとしている.

  • Simple (単純明快である)
  • Unexpected (意外性がある)
  • Concrete (具体的である)
  • Credible (信頼性がある)
  • Emotional (感情に訴える)
  • Story (物語性)

という6つの項目にまとめている.

いくつか印象に残った部分はあるが,表現によって印象が大きく変わると思った部分を引用.

ティーブン・コヴィーは『第8の習慣』で、多くの企業と業種から従業員合計2万3000人を抽出して行ったアンケート調査について述べている。調査結果は以下の通りだった。

・自分の組織が何を成し遂げようとしているか、その理由は何かを明確に理解しているとした人は、わずか37%。
・自分の部署や会社の目標に熱意を持っている人は、5人に1人。
・自分の仕事が自分の部署や会社の目標につながっているとした人は、5人に1人。
・自分が重要目標を達成できる環境を会社が与えてくれるとした人は、わずかに15%。
・自分の勤める会社を全面的に信用している人は、わずか20%。

 真面目で冷静な書き方だが、かなり抽象的だ。これを読み終わった人はたぶん「どこの会社にも不満や混乱が多いんだな」と思うだけだろう。
 コヴィーは次に、この統計をきわめて人間的な喩えに置き換えている。
「これがサッカーチームだったら、自分たちのゴールがわかっている選手は11人中4人しかいない。それを気にとめる選手は11人中たったの2人。自分のポジションとやるべきことを把握しているのも11人中たった2人だ。しかもある意味、わずか2人を除いて全員が敵ではなく味方と戦っていることになる」
(pp.198-199)

これは素敵.聞き手に応じて適切なアナロジーで説明できるようになりたい.アナロジーも飛躍しすぎると詭弁になってしまうかもしれないが,こういうたとえをさらっと使えるようにちょっと練習してみたい.

原題は "Made to Stick" とあるように,アイディアのちから,という邦題は少しミスリーディングな気がする.翻訳もよいので,非常に読みやすい.分厚いので一瞬うっとなるが,良い紙を使っているのかページ数はそれほどでもなく,字も詰まっていないのでさらっと読むことができた.