潮騒

潮騒 (新潮文庫)

潮騒 (新潮文庫)

(2008-07-09読了)

三島由紀夫を読んだことなかったので,もっとも読みやすそうな潮騒を読んだ.止まらない止まらない.一気に読んでしまった.
三島由紀夫の描写力に驚いた.


このテの小説って最後ハッピーエンドで終わらないものが多いのだけれど,気持ちよく終わって驚いた.最後の段落の解釈ができずに悩んでいる.


有名な火を飛び越えるシーンは圧巻.それ以外にも,随所にテンポの良い文章が,すごく・・・大きいです.

「初江!」
と若者が叫んだ.
「その火を飛び越して来い.その火を飛び越してきたら」
少女は息せいてはいるが,清らかな弾んだ声で言った.裸の若者は躊躇しなかった.爪先に弾みをつけて,彼の炎に映えた体は,火のなかへまっしぐらに飛び込んだ.次の刹那にその体は少女のすぐ側にあった.
(p.79)