西の魔女が死んだ
- 作者: 梨木香歩
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2001/08/01
- メディア: 文庫
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(2008-06-07読了)
後輩に薦められて読んでみた.良作.
この作品ではふたつのメッセージが繰り返し発信されている.
- 自分の意思で行動すること.
- 思い込みに振り回されないこと.
魔女であるおばあちゃんが「鍛錬」という単語を使っているように,本作でおばあちゃんはセルフマネジメント力をまい(主人公)に伝えようとしていたのではないか.
ふたつのメッセージについては作中で繰り返し言及されているが,特に後者については,魔女の力によって思いがけず聞こえてしまう言葉は聞き流すように,ということや.ゲンジさんの犬が鶏を食い殺したのではないか,とまいが感じたときのおばあちゃんの反応などで書かれている.
「まい、どうか分かってください。これはとても大事なことなのです。おばあちゃんは、まいの言っていることが事実と違うことだといって非難しているのではないのです。まいの言うことが正しいのかもしれない。そうでないかもしれない。でも、大事なことは、今更究明しても取り返しようもない事実ではなくて、いま、現在のまいの心が、疑惑とか憎悪とかいったもので支配されつつあるということなのです。」
(p.139)
帯についているほど感動はしなかった.けれど,他人に薦めたい本.
ストーリーとしては,以前読んだ「霧のむこうのふしぎな町」と似ている,と思った.