チームバチスタの栄光(下)

チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600)

チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600)

(2008-02-17読了)

「上巻読み終わる前に下巻を買ってきて」と母親に言われる発端になった小説.面白かった.「イン・ザ・プール」とか「空中ブランコ」みたいだと言われたが,主人公ではなく,下巻から登場するもうひとりの主人公が「イン・ザ・プール」の伊良部一郎そっくり.しかも,映画では阿部寛が配役されているのだというからみんなそう思っているのだろう.


小説の内容については改めて書く必要はないが,病院ものの小説は何冊か読んだことあるが,新鮮だった.おそらく出世欲がなく,それでいて処世術に長けている主人公ならではの「斜から見た」視点がこうも病院を際立たせているのだろう.

例えば医者は時間にルーズだけれど,看護師や技師といった他のスタッフは異常なくらい時間に厳しい,というくだりが新鮮だった.本当なのだろうか?やっぱり医者も博士号を取るために論文を書くんだなぁ,と思った.この部分は小説の記述以上にリアルなものが見えてきた.


あとがきに書かれているとおり,キャラが立っているのでとても面白い.裏を返せばキャラ立ちのおかげで救われている部分があり,立っているがゆえ,もう少し長く読みたかったなぁという部分もある.


プロフィールを見て驚いた.これ,現役勤務医が書いた小説なんだ.なんと多才なんだ.こういう情報を聞くと,「ほら,やっぱり手術のシーンなんてリアルだと思ったんだ」という発言をしたくなる典型的日本人です,僕は.けれど,蓋を開けてみれば研究畑とか内科で普段血を全く見ない人だったり.


医は仁術なり,ですね.全然まとめになっていないけれど.