読書術
- 作者: 加藤周一
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2000/11/16
- メディア: 文庫
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(2007-07-11読了)
「本を読む本」に次いで万人にお薦めする読書の本.
「おそ読み」と「はや読み」そして「読まない読書」の章がとても参考になった.
おそく読む=古典を読む,そして教科書一冊を何回も読む.
わからない本は読まない,本当に必要であればわかるはず,という説明はとても直感的で,説得力がある.
「繰り返し読むことのできないような小説ならば、はじめから読む必要がない」
「およそ本を読むのにノートをとる必要はない。ノートを取らなければ忘れてしまうようなことは、わざわざ紙に書きつけるには及ばない」
(アラン p.38)
専門書を読むためには,その土台となる知識が必要で,その「おくれ」は取り戻すことができると書いてある.
いつまでも歩いていないで,自動車を運転できるようにならなければいけないよ,というたとえを挙げていた.
「スノビズム」(俗物根性)の話も面白かった.
学者同士が会話をするときに,お互い専門も興味も違うのだから,当然相手が読んだ本を自分が読んでいるはずがない.しかし,あたかも読んだかのように,知ったふりをして会話をする「スノビズム」も大切である,と著者は述べている.(対義語「ドーセバカイズム」)
(ちなみに「スノビズム」係数とは,ありもしない学問や本の名前を出して,学者相手から「それはどういう本か」「その聞いたこともない学問は何を研究するのか」と言い出すまでの時間を指す)
一日1冊読書(誰かの1ヶ月1万頁を参考にしたらしい)を2-3年続けてやめた,とか
通勤電車でラテン語の文法を1年間かけて学んだ,など
はっきり言って手の届くような凄さではないんではないかと思われる節があるけれど,参考にするのは自由でしょう