ウィキノミクス マスコラボレーションによる開発・生産の世紀へ
- 作者: ドン・タプスコット/アンソニー・D・ウィリアムズ,井口耕二
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2007/06/07
- メディア: 単行本
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(2007-07-07読了)
オープン性,ピアリング,共有,グローバルな行動という4本柱によってエコノミクスが変わってゆく,というお話.
「フラット化する社会」と併せて読みたい
アイデアゴラの章で紹介された「イノセンティブ」「アイデアゴラ」は聞いたこともなかったので,かなり驚き.
本書では特にP&Gが挙げられていたが,大企業における研究開発においても外部のアイディアを積極的に取り入れる活動を行っているらしい.
学界においてはまだその動きが活発になっておらず.
今後どういう方向に動いていくか注目するところ.
ちなみに共著者が1681人の論文というものがあるらしい.名前だけで数ページに渡ってしまうような気がするが...
気をつけなければいけないのは,本書で紹介されているのはいずれも成功した
例えばオープンソースプロジェクトで必ず最初に紹介されるリナックスの開発も,最終的にはコア開発チームが献上されたソースコードを厳密に取捨選択している(取捨選択の理由や会議録などは全て公開されるらしい).
このように,コラボレーション=みんな平等,みんな等しく権利を持っていると早合点をしてはいけない.
結局のところ,インターネット普及によるインフラ変化に伴った環境変化に過ぎない,と話半分程度(それでも聞かなければいけないが)に聞くくらいでよいと思う
メルク社とワシントン大学医学部による遺伝子配列のデータベースの公開も,ゲーム理論的な観点から考えれば,競争のポイントをずらすという意味で至極当然の行動とも考えることができる.
やはり重要なのは,技術の進歩とインフラ整備によって「環境」が著しい勢いで変わっていくことだと思う.環境が変わっても通用する技術,環境が変化することで改めなければいけない方法論を見極める必要がある.
訳もわかりやすく,大分読みやすかったけれど470ページ程度を読むのに
合計6時間超はかかったような気がする.もう少しさっと読めないものかね.
自分キーワード
- ピアリング
- アイデアゴラ
- イノセンティブ