「みんなの意見」は案外正しい
(2007-04-22読了)
- 作者: ジェームズ・スロウィッキー,小高尚子
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/01/31
- メディア: 単行本
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昨年あたりに巷を騒がせた本.ようやく読了.
日本語訳のリズムが悪いのか読みづらかった(言い訳).
本書前半でティッピングポイントが引用されていたのでなんだか嬉しくなった.
牛の体重当てクイズをやったら,投票結果の平均が真の正解に限りなく近かったとか,
大統領選の予想トトカルチョをやろうもんなら世論調査よりも正確な数字になった,
といった実話と,それに対する考察を行っている.
集団の意見をまとめた結果は優秀な個人を上回る,といいたいらしいけれど.
ちゃんとそうならないケースも紹介している.
とにかく人間というのは経済的に見ると不可解な生き物であることを再確認.
面白かったのは最後通牒ゲームという名前で紹介されている実験の結果.
詳細は割愛.
相手が自分よりずっとたくさん現金を持ち逃げするくらいなら、自分も相手も一銭ももらえないほうがいい。
(p.128)
みんなの意見が成果を出すには,認知的多様性すなわち個人個人がそれぞれ異なった意見を持っていることが条件と
あとがきにまとめられている.
この話を聞いて思ったのは,機械学習のブースティング.ブースティングの誤差が小さくなるのは
各弱学習器の誤差が独立であることを前提にしているからで,考え方としては同じように思えてしまいます.
個人的に残念だったのは,日本人はフットボール(当然アメリカンフットボールのこと)に
あまり詳しくないからという理由で,訳者がフットボールの詳細を記述した部分を割愛したらしい.
うまく訳せなかっただけちゃうか?
キーワード:認知的多様性, 情報カスケード, 工場での金メッキ, 集団極性化, マタイ効果