村上春樹いじり
- 作者: ドリー,なかむらるみ
- 出版社/メーカー: 三五館
- 発売日: 2013/11/21
- メディア: 単行本
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(2014-06-22読了)
本屋で見かけて春樹ファンとして思わず買ってしまった.例の「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」のAmazonレビューを書いたレビュワーが村上春樹の長編作品に対してレビューをするという本.
試みは面白いが,まぁこんなものだろうという内容.
一応全作品を読んだことがあるのだけれど,もうだいぶ内容を忘れてしまっているなぁ.
ハーバードでも通用した研究者の英語術―ひとりで学べる英文ライティング・スキル
ハーバードでも通用した 研究者の英語術〜ひとりで学べる英文ライティング・スキル
- 作者: 島岡要,Joseph A. Moore
- 出版社/メーカー: 羊土社
- 発売日: 2010/03/25
- メディア: 単行本
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(2014-06-07読了)
ハーバード大学医学部留学・独立日記のブログ (2011年から三重大学に移られたらしい) でもおなじみの島岡要氏の著書だったので思わず購入.
読んだつもりになっていたけれどずっと積読になっていたのでちゃんと読んだのでメモ.
以下の6つの章に分かれて書かれている.
もともと英語論文書きの勉強になるかと思って購入したので,1.アブストラクトのところだけ読めばいいやと思って読んでいたのだけれど,それ以外も基本的には「想定読者を自分が望む状態に持っていくための,説得的な文章の構成とは何か」ということと,その書き方と実例が挙げられているので参考になった.
本章で特に覚えておきたいのは以下の2点.いずれも1章で述べられている.
アブストラクトは通常本文を書き終わらないと書けないものである.しかし,あえて本文を書く前の段階で一度アブストラクトを書くことによって,自分の中で整理しきれていない部分が明確になるため,一度ここで「生みの苦しみ」を経験しておくのがよいと書かれている.
その際に用意しておく情報として以下の「快適に第一稿を書き始めるためのフレームワーク (p.27) 」に対応する情報を用意する.
- 1 研究の背景
- 2 研究する問題や問い
- 3 研究の目的
- 4 研究の肝となる方法と結果
- 5 主要な研究成果
- 6 研究の結論
- 7 研究の意味付け
第一稿を仕上げればすぐ指導者に見てもらい,楽になりたい衝動にかられますが,ぐっと辛抱してください.実は自分で書いた第1稿を自分で訂正・改善していくセルフ・エディティングの能力を育てることが,英語ライティング・スキルの向上の要なのです.
...
数十回はアブストラクトをセルフ・エディティングすることをお奨めします.数十回のセルフ・エディティングのために十分な時間を最初から計画に入れておきましょう.
(p.23)
これは耳が痛い.特に最初の一文はその通り.英語に限らず,セルフ・エディティングを習慣づけたい.しかし,どうすればセルフ・エディティングをできるようになるだろうか.日数をおけば他人の文章になるとはよく言われるが,なかなか書き直す気がおきない.気合と根性以外に良い仕組みがあればぜひ知りたい.
さて会社の資料作成においてはこれとは逆の習慣 (=すぐ見せる) の方がよいケースもあると思っている.まず40%の出来でもよいからとにかく早くメンバーや上司に共有してフィードバックする.限られた時間の中で完成度を上げるという意味では効率がよい.その意味で企業研究者は頭のモード切り替えが必要だとつくづく思う.もちろん大学の研究者もそういった側面は多分にあるのだろうけれど.
カバーレターというものをちゃんと知らなかったのだけれど,そもそも投稿された論文がすべて査読されるわけではなく,カバーレターでフィルタリングをされたものだけが査読をされるらしい.情報系では自分が知る限りは,論文は投稿すれば査読されるものという感覚があったのでこれは新鮮だった.カバーレターに論文査読にふさわしい人,ふさわしくない人を個人名を挙げて記述するという点も新鮮.
例文がすべて医学系のため,自分にとっては謎の言葉ラッシュで読むのが少し辛かったというのが本書の唯一の欠点.あとは工学寄りの論文の書き方はまた少し違うのだろうなぁと思った.
以上,このブログ記事は書いてそのままアップしている.セルフ・エディティングなしである.明日からセルフ・エディティングやろう.
「つながり」の進化生物学
- 作者: 岡ノ谷一夫
- 出版社/メーカー: 朝日出版社
- 発売日: 2013/01/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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(2014-05-29読了)
岡ノ谷一夫氏の著書.こちらは高校生向けに行った4回の講義を書き起こしたもの.読みやすい.
こんな講義を高校生の頃に受けていたら,相当影響受けるだろうなぁ...と思ったり.
- 相互分節化仮説
- 個別の意味を持つ発声の共通部分がやがて単語化するという仮説
- サリーとアンの実験
- 半分お母さんには反応薄い
- おしりを紐でつないだダンゴムシ -> 前に進めないと知ると片方の背中に乗る
- インターネットコオロギ
次は「ダンゴムシに心はあるのか」を読んでみよう
ダンゴムシに心はあるのか (PHPサイエンス・ワールド新書)
- 作者: 森山徹
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2011/03/19
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言葉はなぜ生まれたのか
- 作者: 岡ノ谷一夫,石森愛彦
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/07/13
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(2014-05-17読了)
岡ノ谷氏の著書は小鳥の歌からヒトの言葉へ以来.ふとしたきっかけで本書の存在を知り,近所の図書館においてあるということで早速借りてみた.
言語の条件についてさらっとまとめてある.言語には4つの条件があり,すべての条件を満たすのは人間だけであると書かれている.ただし,動物には一部を満たすものが存在しており,本書ではそれを条件ごとに紹介している.
- 1. 発声学習ができる (すぐにまねができる)
- 2. 音 (単語) と意味が対応している
- 3. 文法がある
- 4. 社会関係のなかで使い分けられる
- 1. -> 2章 息をとめられなければ、ことばはしゃべれない
- 発声学習しない動物は,自分の意思で息を止めることができない
- 呼吸をコントロールできる動物->発声学習ができるようになった
- 2. -> 3章 デグーの「単語」
- 17種類の鳴き方を生得的に持っている
- 3. -> 4章 ジュウシマツの文法
- 自分の親を含めたオスの歌を聴いて「切り貼り」して自分独自の歌をつくる
- 4. ハダカデバネズミの「あいさつ」
- あいさつの声が低くて短い方が目上
- 下っ端の方がたくさんしゃべる
ハダカデバネズミの言語についての話は聞いたことなかった! (「ハダカデバネズミ―女王・兵隊・ふとん係」を読んだはずなのだけれど,そこに書いてなかったのか,はたまた忘れてしまったのか)
ハダカデバネズミ―女王・兵隊・ふとん係 (岩波科学ライブラリー 生きもの)
- 作者: 吉田重人,岡ノ谷一夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2008/11/06
- メディア: 単行本
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アジャイルな時間管理術 ポモドーロテクニック入門
- 作者: Staffan Noeteberg,渋川よしき,渋川あき
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2010/12/16
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(2014-04-18読了)
かなり今更感はあるがポモドーロテクニックなるものを知ったのが最近なので,とりあえず教典(?)を読んだ.
25分で1タスクを回して,5分休憩するというのをタスク管理フレームワークとして利用するもの.特に技術者の間で流行っている(?)方法らしい.
もちろん25分というのは仕事によっても変わるし,5分休憩というのも最初はもどかしいかもしれない.けれど最初の2週間はオリジナルを守って行動してみるとよいよ (by 技術習得のドレイファス・モデル p.144) というような書きっぷり.
まだはじめて少ししか経っていないのでポモドーロテクニックに対する良し悪しはわからない.が,ポモドーロテクニックを使う分には本書を読む必要はない気がする.
ただ,きゅうり君とアンティチョーク君かわいさを見るために本章を買う価値があるかもしれない :)
クラウドからAIへ
クラウドからAIへ アップル、グーグル、フェイスブックの次なる主戦場 (朝日新書)
- 作者: 小林雅一
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2013/07/12
- メディア: 新書
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(2014-04-14読了)
Kindle版で読んだ.新書や小説のようにすらすら読める本はKindleでもよいのだけれど,考えながら読む本はKindleでは厳しいなぁという感想.
技術者や研究者向けの内容ではないが,AIの歴史をざっと眺めるのによい.
クラウド,ビッグデータというワードの次に来るのがSiriをはじめとするエージェントすなわちAI技術である,という切り口からAIの歴史を振り返り,現在のAI技術が産業界にどのような形で使われているのかを概説している.
チューリングテストやサールの中国語の部屋 (本文では中国語の部屋という呼称は使われていなかった) などについてもさらっと触れており,ニューラルネットワークが2回迎えた冬の時代 (1回目パーセプトロンの限界,2回目SVMの登場によるMNNの人気没落) などについても説明してある.
AIの歴史をちょこっとだけ学んだことがあるのでブルックスの名前と思想は知っていたが,なんとルンバを作ったiRobot社を立ち上げたのもブルックスだとは知らなかった.知って納得.
カタカナ語になっているのでポインタとしてそのまま使えないかもしれないが,使われている技術の名称に言及しているので,技術に対する素人が専門家に聞く際の手がかりになるかもしれない.
技術的には深堀りしていなくても,このページ数でこれだけの内容をさらっと書けるのはすごい.そんなわけで,ピンポイントで深堀りしているが全体像をなかなかつかめない学生や,非技術者に対するAI入門書的な位置づけとしては良書.
数学ガールの誕生
数学ガールの誕生 理想の数学対話を求めて (数学ガールシリーズ)
- 作者: 結城浩
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2013/09/14
- メディア: 単行本
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(2014-01-28読了)
数学ガールは1冊目以外積読になっているが,本屋で偶然見つけて結城浩ファンとしては読まずにいられなかったので購入.数学ガール読めよ,という感じである.結城浩氏は顔出ししない,講演もほとんどしないということで一生のうちに会いたい人のひとりなのだけれど,どうやらはこだて未来大学で行った講演と質疑応答の内容を書き起こしたものらしい.
内容はザ・結城浩節という感じでファンとしてはニヤニヤしていた.初めて結城氏の本を読んだのは「C言語プログラミングのエッセンス」であり,まえがきに書かれていた文言を記憶を便りに書いてみる.
ケーキを作っていてレシピに書かれていたバニラエッセンス1摘というのを,どうせ1摘だから加えなくても変わらないだろうと思っていたが,ある日バニラエッセンスを手に入れたので加えてみたら信じられないほど風味が変わった.本書はそんな1摘を読者に提供できればと思う.
こんな感じだった.自分の中ではこのセンテンスに結城氏のポリシーが集約されているんじゃないかなと思っている.
ゲーデルの不完全性定理については,一年かけて勉強しながら本を書いたとか.読んでいないので内容を知らないが,ゲーデルの不完全性定理の証明を説明しているらしい.数学科の出身ではないから本当にイチから勉強して本にするというのがすごい.自分も追いかけてみたい.
本書で語っていた結城氏の「1年勉強すればここくらいまでは到達できるだろう」ということがわかる」という能力は,わかる能力がすごいんでなくて裏を返すとコツコツと勉強ができる能力なのではないか.もっといえばわかる能力でなくて,絶対に目標を達成するという能力なのではないかと思う.
自分の能力を自慢すれば「1年勉強してこれくらいまでになる (といいなぁ)」という能力があるものの,残念ながらそれを達成する能力がない典型的な明日本気を出すタイプである.
しかし,そんな能力()も悪いことばかりではない.
昨年ようやくEMアルゴリズムを自分の言葉で理解することができた.初めてEMアルゴリズムを知ってから7-8年経っていたと思う.結果から言えば1日もあれば理解できるようなところでつまづいていただけなのだけれど,おかげで多分もう忘れないし,7年かかった感動はものすごかった.だから自分の理解が遅いのは感動を味わいたからであって,けして怠けているわけではないと信じている.よし明日から本気を出そうと思った.
本書への感想というか自分語りになってしまったけれど結城浩ファンとしては面白かった.